ベトナムで印刷入稿する際、基本的には日本での入稿方式と変わりはありません。しかしベトナムの印刷会社は日本語フォントを所有していないため、アウトライン化していないデータを入稿したためにフォントが崩れてしまう、などといったことが起こります。
ベトナムで印刷入稿する際に発注側(デザイナー)が押さえておかなければならないポイントを記載しました。
1. カラーモードがCMYKに設定されていること
印刷用のドキュメントはCMYKモードで設定されていなければなりません。基本的には新規ドキュメントを作成する際にカラーモードからCMYKを選択します。RGBモードが選択されている場合、印刷時の色が希望の色と違う色で印刷されます。
後からカラーモードを変更する際は、ファイル>ドキュメントのカラーモードからCMYKカラーを選択します。
2. 3mmの塗り足しが設定されていること
デザイン上、写真や背景イラストなどが紙の端まで配置されている場合、3mmの塗り足しを用意してください。塗り足しがない場合、断裁時に上下左右に白い線が現れます。
ファイル>ドキュメント設定
裁ち落としを上下左右3mmに設定します。
デザインデータは塗り足しのところまで作成します。
3. すべてのフォントがアウトライン化されていること
文字(テキスト)はすべてアウトライン化をします。デザインで使用したフォントを印刷会社がすべて揃えている訳ではありませんので、フォントがない場合は他のフォントに代替えされてしまいます。
オブジェクト>すべてのロック解除をし、選択>すべてを選択、書式>アウトラインを作成を選択します。
書式>フォント検索を選択して画面上にフォントが表示される場合は、すべてのフォントがアウトライン化されていません。ドキュメントのフォントに何も表示されなければすべてのフォントがアウトライン化されています。
4. 余分なポイントがないかチェック。ある場合は削除すること
デザインデータ内に余分なポイントが存在している場合、印刷時にエラーが発生する場合があります。余分なポイントがある場合はデータサイズが大きくなってしまいます。
選択>オブジェクト>余分なポイントを選択します。
余分なポイントが存在する場合は削除をします。
5. デザインに特色が含まれていないこと
CMYKの4色で入稿する際に、デザイン内に特色が指定されていると意図した色で印刷されません。特にオンデマンド・デジタル印刷では特色は希望する色で印刷ができません。
ドキュメント情報>特色オブジェクトを選択して、特色が含まれていないかどうか確認することができます。
※ロゴなどで特色を利用する場合は特色が含まれていることをご指定ください。
6. 線や文字に「リッチブラック」が含まれていないか確認すること
リッチブラックとはK100%ではなく、CMYKの掛け合わせで作られた黒です。
リッチブラックは背景色を鮮やかな黒で表現したい場合などに使用されますが、細い線や小さなフォントにリッチブラックを適用すると版ズレの原因となります。
7. エンベッドされた画像がCMYKモードになっていること
印刷用データはCMYKの4色で構成されます。RGBモードで鮮やかに見える写真でも、CMYKモードにするとくすんで見えてしまいます。印刷データ内にRGBモードの画像が混在していると、意図した色で印刷ができません。
エンベッドされた画像はすべてCYMKモードに変換してください。
8. エンベッドされた画像はすべて300dpi以上あること
画像を印刷する場合300dpi以上の解像度が必要です。低解像度の画像はピンぼけのように印刷されてしまいます。どうしても低解像度の画像しかない場合は、印刷品質が悪くなることをご了承いただければ印刷は可能です。
9. すべての画像がエンベッドされていること
画像の欠落を防ぐために、すべての画像はエンベッドしてください。
ウィンドウ>リンクを選択して画像の右隣にアイコンのある画像はエンベッドされています。アイコンが表示されていない場合はエンベッドされていないので、印刷時に画像が欠落する恐れがあります。
10. オーバープリントが適切に設定されていること
オーバープリントは複数のオブジェクトが重なっている時に、前後関係を正しく表示させるために使用されます。オーバープリントが正しく設定されていないと、印刷時にオブジェクトの一部が印刷されない可能性があります。
表示>オーバープリントプレビューを選択します。
デザイン上は正しく文字が表示されていますが、
オーバープリントの設定を誤ると文字が正しく表示されない場合があります。
11. 入稿するファイル形式はPDF X-4であること
入稿するファイル形式はPDF/X-4形式が最適です。
AI形式で保存をする場合はPDF互換ファイルを作成にチェックを入れてください。